<メンバー>CLともさん、ながおか、<やなぎ>、みつまん(記)
<概要>奥秩父は奥深く山脈が続いていた。そこを歩く人は多く、静寂に浸ることはできない。だが、もし人が少なくともザックの重みに耐えて歩く私には静寂など感じることはできなかっただろう。苦闘の時間だったのだ。好天だったのが救いだった。
――縦走計―ー
<ルート数値>距離38.4km 累積標高+3,445m, -3,790m 所要時間 30時間20分(休憩込み)
5月3日 みずがき山荘~大弛峠
<天気>晴れ
<ルート数値>距離11.1km 累積標高+1,495m, -620m 所要時間 9時間30分(休憩込み)
<行程>みずがき山荘7:40 – 富士見平小屋8:45 – 9:57大日小屋10:15 – 10:58大日岩分岐11:08 – 砂払いの頭12:28 – 13:45金峰山(五丈岩前)14:10 – 15:38朝日岳15:48 – 17:10大弛小屋

さあ、山行開始 
瑞牆山を眺めて休憩 
富士見平に到着 
大日岩の左奥に八ヶ岳 
岩を渡るように登る 
五丈岩で一休み 
金峰山から霊峰富士 
金峰山の東側 
残雪が出て来た 
朝日岳への登り。ザレ場にはチェーンスパイク 
明日歩く稜線が見えた 
まもなく大弛峠
<詳細報告>朝4:30田沼発ということで、3:30に家を出て早めに集合場所に着いたのだがすでにメンバーは揃っていた。やなぎさんのご主人の運転する車で出発。今回の山行は登山口、下山口が遠く離れているが両場所まで送り迎えしてもらえるという実に有難く贅沢な山行である。
上信越道・中部横断道経由でみずがき山荘に着いたのは7時過ぎだった。既に駐車場は満車で手前の路肩に駐車している車も多いが、山荘前に停車して山行準備することができた。ここでやなぎさんのご主人にお礼を伝えて山行開始。
最初は緩やかだが、次第に傾斜が出てきて、周りに大岩が点在するするようになった。40分程登ると瑞牆山を正面に展望できる展望地に着いた。大勢の登山者に混じって瑞牆山を眺めながら一休みする。そこから15分で富士見平の水場に着き、美味しい水を補給した。小屋前のテント場には既に多くのテントが張られていた。主稜線に乗ると登山道は飯森山の南をトラバースして緩やかに登って行く。大日小屋近くで一休み。女性陣は小屋でトイレを借りたようだ。そこからの登りは傾斜がきつくなり、足場の悪い場所もでてきて、クサリが架かかる所もある。左上に大日岩の巨岩が登場すると人頑張りで分岐に着いた。一休みして大日岩を横から眺める。大日岩の左には八ヶ岳が眺められた。
そこからも樹林帯は続くが、登山道には花崗岩と思われる岩が増えてくる。登山者が増えてきてどんどん私たちを追い越していった。砂払の頭からは樹林が消え岩尾根となり、丸みのある岩を渡るように登って行く。その辺りまで来ると、健脚の下山者と交差することが増えて来て、狭い尾根を譲り合いながら進むしかない。岩を渡るときはザックの重さが堪える。バランスを崩すと一巻の終わりなので、とにかく安全第一に進んだ。それにしても安全コースとは言い難いコースを大勢の登山者が行き交うのには驚いた。事故が発生しても不思議ではないだろう。金峰山小屋分岐で少し休んでまた岩道に挑んで、やっと五丈岩に着いた。大日岩からそこまでコースタイムで1時間50分となっているが2時間40分もかかった。日帰り登山なら楽しい岩尾根登りなのだろうが、重いザックを背負っている状況ではそれを楽しむ余裕はなかった。五丈岩は前回来た時は登っている元気者がかなりいたが、今は神域の為「岩登り厳禁」の看板があり誰も登っていなかった。
一休み後、大弛峠へ下った。すぐ残雪がでてきたのでチェーンスパイクを装着する。チェーンスパイクは便利な道具で雪上だけでなくザレ場の滑り止めにもなる。今回の山行全体で見ても軽アイゼンを履いている人は僅かで大部分がチェーンスパイクを利用していた。登山者は金峰山を過ぎると一気に減った。私は金峰山への登りの疲れが一気にでてきたのか、朝日岳への登りでは疲労困憊した。何度も休みながらやっと大弛峠に着いたのは予定を大きくオーバーして17時を過ぎていた。
大弛小屋では腹の出た小屋番さんが陽気に采配していた。すでに大部分のテント場は埋まっていて、私たちは小屋前をあてがわれた。今は峠への車道は閉鎖されていてこの小屋に来るには長時間尾根を歩いてくるしかない。それなのにテント場は一杯で小屋がガラガラだという。コロナ以降テント志向が続いているようだ。テント飯はアルファ米+乾燥カレー。実に美味しかった。私は今年初めての休肝日となった。飲む気力もなかったのだ。
5月4日 大弛峠~甲武信小屋
<天気>晴れ
<ルート数値>距離11.1km 累積標高+1,080m, -1,080m 所要時間 9時間50分(休憩込み)
<行程>大弛小屋5:40 – 夢の庭園 – 北奥千丈岳8:45 – 10:31東梓 – 12:40富士見12:50 – 14:50甲武信岳15:00 – 15:30甲武信小屋

木製階段を登る 
朝は富士もくっきり見える 
北奥千丈岳 
国師ヶ岳 
国師のタル 
でっかいコブのある木 
東梓 
尾根は倒木だらけ 
富士見に到着。寝てしまった。 
縞枯れ? 
甲武信岳直下のガレ場 
甲武信岳山頂
<詳細報告>3:40頃起床。朝食はアルファ米。小屋の先から残雪があるので最初からチェーンスパイクを装着して出発。
国師が岳までは木道階段が多い。残雪があってもチェーンスパイクが効いて歩きやすいのだが、雪の無い木道では少しキズを付けてしまうのが気になる。「夢の庭園」に寄ることにした。ザックをデポして急な階段を登る。岩とコメツガの間を登っていくと眺望は良く、朝の澄んだ空気に遠くの山脈が見事だ。シャクナゲの季節ならもう少し見応えがあるかもしれないが花芽は皆無だった。戻って、階段をまた登る。北奥千丈岳に寄ることにした。ザックをデポして10分足らずで山頂に着いた。眺望は素晴らしい。八ヶ岳・中央アルプス・南アルプス・富士山まで見えた。たっぷりと景色を楽しんでデポ地に戻った。国師ヶ岳からの下りはルートファインディングが難しい。主稜線はその先で北北東に方向を変えるのだが、それを意識しすぎると手前の支尾根に引き込まれてしまう。シャクナゲが踏み跡を隠している場所もあるので厄介だ。方向を変える場所にはしっかりと標識があった。
いくつか小ピークを越えていくと残雪が消えたのでチェーンスパイクを脱いだ。この尾根は倒木が多い。倒木を潜ったり、越したりで、重いザックが肩に堪えてくる。それにアップダウンが繰り返されるのも参る。東梓まではコースタイムに大きく遅れることなく進んだが、そこから富士見までは大幅に遅れることになった。肩の痛みより足の疲れが気になって来た。おまけに眠気も出て来た。富士見に着いた時は倒れ込んで少し寝入ってしまった。水師という不思議な名前のピークを越して源流への分岐を過ぎると急なガレ場になった。その上が甲武信岳山頂だという。そこで、なおかさんの足が止まってしまった。なかなか回復しないので、ながおかさんは空身で登り、やなぎさんがザックの回収に往復してくれることになった。私はゆっくりと登りなんとか山頂に到達した。山頂には立派な石築の上に山頂標識があった。神戸からやって来たという若者にシャッターをお願いした。
無事、小屋に到着した。甲武信小屋の下に段状になったテントサイトがあり、一番上の奥を指定された。テント設営後、久しぶりのビールを味わう。休肝日後のビールは美味しい。ここは水は有料(1リットル100円)。トイレはポットン便所だが昨日出せなかった分も合わせて排出できて身軽になった。もしかしたら便の分が脚に負担になったのかも知れないと勝手に推察したが・・・、真実はザック重が体力に合っていなかっただけでしょう。
夜は、昨夜同様、睡眠導入剤の効果で5時間は寝られたがその後は寝られなかった。
5月5日 甲武信小屋~雁坂小屋
<天気>晴れ 風強し
<ルート数値>距離8.0km 累積標高+650m, -1,050m 所要時間 6時間50分(休憩込み)
<行程>甲武信小屋6:00 – 6:40木賊山6:48 – 7:55破風山避難小屋8:05 – 9:07破風山9:15 – 11:20雁坂嶺11:45 – 12:18雁坂峠12:30 – 12:45雁坂小屋

朝の甲武信小屋 
木賊山山頂 
破風山を見ながら砂地急傾斜を下る 
破風山避難小屋を振り返る 
破風山山頂 
雁坂嶺近く 
雁坂峠へ下る 
日本三大峠 雁坂峠 
雁坂小屋へ下りて来た
<詳細報告>昨夜の相談で、今日は何とか笠取小屋まで行くことになった。
甲武信小屋からは破風山迂回ルートと木賊山経由のルートに分かれる。小屋番さんに尋ねると「私なら迂回ルート」という言葉が返って来た。それに押されて迂回ルートに入ったが、木賊(とくさ)山を踏まないのは勿体ないということになって小屋に戻って仕切り直しとなった。登りの登山道に雪が残っているのでチェーンスパイクを装着して登り始めた。この稜線には縞枯現象が随所に見られたが、ここでもその現象に出くわした。世代交代の現れらしいが、枯れて開けた場所からは山が綺麗に見えるのが皮肉だ。西には一昨日、昨日と苦労しながら歩いて来た金峰山、朝日岳、国師ヶ岳、甲武信岳が見えた。仕切り直しから約20分の急登で木賊山に到着。また一休み。そこからは正面に破風山を見ながらの下りが1時間程続く。コルにはきれいな避難小屋があり、中を覗くとザックが1つ転がっていた。20分かかるという水場に下りて行ったのかもしれない。破風山への登りで私が次第に遅れて来た。ともさんが見かねて荷物を持ってくれることになった。既にながおかさんの荷物の一部をともさん、やなぎさんの二人担いでくれているので、私は何とか最後まで頑張ろうと思ったが、好意に甘えることにした。雁坂嶺まできた時に笠取小屋は諦めて雁坂小屋止まりにすることになった。ロートル二人の脚の動きが悪いのだから致し方ないが、若手二人とすれば残念だっただろう。
昨日歩いた尾根は樹林帯が大部分だったが、今日は木賊山、破風山付近を除き、立ち枯れた木が多く、笹原が広がっていた。雁坂嶺山頂も同様だった。笹原を雁坂峠へ下った。この峠は日本三大峠の一つらしい。残りの三大峠は針ノ木峠と三伏峠だという。峠でまたまた大休止して雁坂小屋へ下りた。
小屋は峠を東に15分程下ったところに在った。テント場に行くにはトイレの通路を経由しなくてはならないのはネットで良く紹介されている。強めの風の中テント設営。この小屋は水が豊富で無料である。今回の山行中始めて顔を洗った。小屋前のベンチで話し込んでいる二人組に混じって私たちもビールを飲んだ。私は3本飲んでいい気分になった。
まったりと時間を過ごして早めの夕食とする。今日は焼きビーフンとアルファ米。夜は風が強く、多分風速10メートル近い風が吹いていたと思う。私は5時間寝てまた目覚めてしまった。ビールを3本も飲んだのに夜トイレに行かずに済んだのは不思議だった。
5月6日 雁坂小屋~道の駅みとみ
<天気>曇り
<ルート数値>距離8.2km 累積標高+220m, -1,040m 所要時間 4時間10分(休憩込み)
<行程>雁坂小屋5:45 – 6:10雁坂峠6:13 – 井戸沢渡渉7:04 – 8:40林道終点 – 9:55道の駅みとみ

雁坂峠からジグザグに下る 
井戸ノ沢を渡る 
崩落地を通過 
落ち葉の多い渡渉 
林道に出た 
登山口に降りて来た
<詳細報告>風が強い中、下山開始。峠からはジグザグに高度を下げていった。何度か渡渉が必要で、一度、花に気を取られて渡渉場所を行きすぎることもあったが、間違いなく渡渉できた。崩落個所もいくつかある。砂地斜面のトラバースもあったが、問題なく林道まで下りて来た。林道は舗装されているので足裏に響く。途中でともさんのご主人がお出迎えに来てくれた。
無事道の駅に下山できた。まず、車で少し下って三富温泉で汗を流した。風呂から出てくると絵を描いている男性がいる。見ると金峰山や甲武信岳周辺の鳥瞰図を書いている人らしい。山と高原地図も執筆しているとの事なので帰宅後調べると温井一郎さんという名前らしい。「ぬくえもん」というネームで山のイラストをたくさん描いているらしい。実に分かりやすいイラストだと思った。その旅館を出てから道の駅に戻って食事と買い物をして帰路についた。ともさんのご主人は道に詳しいようで、秩父の町を迂回して、関越道に乗ることなく一般道で佐野まで帰って来た。16時前に田沼に戻った。
会員ページにメンバー写真と若干の反省をアップしました。