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2010年4〜5月  ネパール アイランドピーク
(6,189m) 登山報告書
                  
アイランドピーク メンバー全員

               アイランド ピーク メンバー全員

メンバー>  「ながおか正」(記) 「さだこ」

1.はじめに

 ネパールで手頃に登れるトレッキング ピークのアイランドピーク 6,189mを夫婦で登ることにして、2年前からトレーニングを行った。結果は残念ながら二人とも体調不良で、6000mで断念し、夫婦登山の難しさを感じたが、期間中は旧知のガイド、コック、初めてのポータ4人にサポートしてもらい、楽しい山行を過ごした。以下 概要を報告する。

2.日程、費用、現地 エージェント

<日程> 2010/4/10()から 56()   27日間

<費用> 40 万円/

<ネパール現地 エージェント>

    Dinesh Kumar Magar Post Box #10688, Bishal Nagar, Kathmandu Nepal

3.行動概要

 日程実質行動時間

 4/10  1日目 キャセイ航空 成田 CX501 1100/香港 1450    香港 CX6730 1805/マトマンズ 2215

 4/11 日 2日目 カトマンズ泊

 4/12 月 3日目 国内線フライト ルクラへ。トレッキングで ルクラ 〜 パクディン (2610m)      ロッジ泊。 3 時間

 4/13 火 4日目 パクディン 〜 ナムチェバザール ロッジ泊。(3446m)  6 時間

 4/14 水 5日目 高度順応日 (ホテル エベレスト ビュー、クムジュン、クンデ等3840m)ナムチェバザール ロッジ泊。  6 時間  

 4/15 木 6日目 ナムチェバザール_ ポルチェ( 3810m )ロッジ泊。  7 時間

 4/16 金 7日目 ポルチェ _ オルショ (3930m) ロッジ泊。  4 時間

 4/17 土 8日目 オルショ _ ディンボチェ (4410m) ロッジ泊。  4 時間

 4/18 日 9日目 ディンボチェ _ チュクン (4730m) テント泊。  4 時間

 4/19 月 10日目 高度順応日 ( チュクンリ 5550 m ) テント泊。 4 時間

 4/20 火 11日目 高度順応日 チュクン 〜 アイランド B.C. (4970m) 〜チュクン   6 時間

 4/21 水 12日目 チュクン〜アイランド B.C (4970m)   5 時間

 4/22 木 13日目 アイランド B.C 〜 ハイ キャンプ (5481m)   4 時間

 4/23 金 14日目 ハイキャンプ 〜 サミット 6,189m B.C へ戻る。  12 時間

 4/24 土 15日目 B.C 〜 ディンボチェ (4410m) ロッジ泊。   5 時間

 4/25 日 16日目 ディンボチェ 〜 Lapharma Khalka ラファーマ カルカ (アマダブラムBC 手前水場) (4300m)   3 時間

 4/26 月 17日目 ラファーマ カルカ 〜 アマダ ブラムBC 5400m ) 〜 ディンホチェ ロッジ泊。  5 時間

 4/27 火 18日目 ディンボチェ 〜 ナムチェバザール ホテル泊。  5 時間

 4/28 水 19日目 ナムチェバザール 〜 パクディン ロッジ泊。  4 時間

 4/29 木 20日目 パクディン 〜 ルクラ ロッジ泊。  3 時間

 4/30 金 21日目 フライトでルクラ 〜 カトマンズ (ホテル泊)

 5/1  土 22日目 カトマンズ

 5/2 日 23日目 カトマンズ

 5/3 月 24日目 カトマンズ

 5/4 火 25日目 カトマンズ

 5/5 水 26日目 キャセイ航空 カトマンズCX6729 2315 / 香港 0755 + 1

 5/6 木 27日目 キャセイ航空 香港 CX504 0910 / 成田 1435

4.アタック前後の行動報告

13日目 4月22日(木) 晴れ、風 正廣記

 出発 7:49   AC着 8:58  「さだこ」着 9:30  発 9:45

 今朝は寒かった。ACで「さだこ」を待っている間、登頂に出掛けているパーティの留守番のガイドエベレストビューホテルから2人と世間話をした。

 山頂へのルートはルンゼ左側を登り、そのルンゼをトラバースし、更に300mトラバース気味に登ると、白い岩が多い所に出る。ここから急登になり、最後に2,30mのリッジを登ると5,800mの氷河末端に出る。ここからアイゼン、ピッケルをつけ、氷河を歩く。

 11時 5700mで今日最初に下って来たデンマーク人、2番目のイラン人と話す。イラン人パーティはメラピークを登り、アマダブラム横の峠を越えて来たそうだ。BCからアタックを行い、強力だ。登頂を終えたパーティで足元がフラフラしている数人がいた。20人位登頂出来たであろうか。今日は風が強い。

 12:06 氷河末端着。下って来たガイドとお客の2人がいる。キランさんに冗談でこのまま登頂しょうか!と言う。5,800mまで順化出来たので、明日のアタックは残り400mで楽勝と思われた。写真を撮り、休憩後、12:23 に下山する。

 13:06 AC着 我々が上部に行っている間に、ポータ、コックがキッチンテントと我々2人のテントを張り終えていた。近くの古いキッチンテントが強風で破れ、吹き飛ばされそうになる。我々のキッチンテントは周りを石で囲っているので、風には強いが、下が岩でデコボコで狭い。16時過ぎ、ポータ3人が、BCに下って行った。アマダブラム18時、狭く、風で寒いキッチンテントで夕食をとる。

 チュクンからの上部では、「さだこ」は高度の影響で、顔がパンパンに膨れ、ムーンフェースになる。また睡眠障害も有り、夜は眠れないようだ。正廣も少し顔が膨らんでいるとコックのボムに言われる。

 19時シュラフに入るが、「さだこ」が眠れないのでガサガサと動き、それが気になり正廣も眠れなかった。

24:30 我々のキッチンテントと他のテントの準備する音を合図にシュラフから出て、アタックの準備をする。 当初は1時起床、3時発の予定であったので、かなり早い。

14日目 4月23日(金) 晴れ、風 正廣記

 1:30発  4:30 氷河末端着   8:30_9:30 6,000mのコル  11:10_11:50 氷河末端  13時 AC着、「さだこ」13:30着  14時 AC発  BC着 14:50

 昨夜朝食に何を食べたいと聞かれたので、おかゆ、梅干し、味噌汁と希望を言い、それらを食べる。ACに残っていたキランさん、ボム、ポータのディポックの3人が氷河末端まで付いて行く。ディポックは闇夜の中、ヘッドランプも無しで、先頭を歩く。「さだこ」の荷物とロープはボムが背負う。

 空身の「さだこ」が徐々に遅れだしたが、十数人の先行の各パーティも、体力によりバラけて来たので、その遅いペースに合わせる。

 時々、ガレ場の急登を歩くのが下手な連中が落石を起こす。何も言わないので危なくてしょうがない。

 氷河末端に着いた頃はまだ暗かったが、準備をしている間に明るくなった。そこで、ハーネス、アイゼン、スパッツ、ピッケル、ロープを身に着け、キランさん、ボムがそれらを手伝う。

 ガイドが付いている先行のパーティは最初からハーネス、スパッツを付けて登って来たので、アイゼン、ピッケルを付けると、ロープも無しにサッサと歩きだす。アンザイレンしているパーティは我々だけで、他はいなアイランドピークい。

 キランさん達に11時頃にはACに帰ると言い、彼らに気をつけて登るよう言われて別れる。氷河を歩き出してすぐに、体調不良の「さだこ」が先頭を行く正廣に歩くのが早いと、文句を言う。他のパーティにどんどん抜かれて行くので、けっして早くはないのだが、早く感じるのであろう。

 歩くのにロープが邪魔になり、しばらくして外す。右に回り込む斜度が有るトラバースの個所が凍っているので、ゆっくり行くが、しばらく経っても来ない。戻って見ると、夢遊病者のような危なかっしい足取りで来る。プラトーでこれ以上は危険だから、帰ろうと言うが、まだ大丈夫と言って聞かない。

 1.5m程の梯子が架かっているクレバス(ここにはロープが有ったので、それを掴み渡る)を注意深く渡り、「さだこ」のペースに合わせ、ゆっくりと歩く。それでも遅く、登頂の時間切れになるので、何度か帰ろうと言うが、まだ頑張るの一点のみで、私の言うことを聞かない。

 これが他人同士のパーティで有れば、リーダの意見は絶対だが、夫婦のパーティでは私をリーダではなく、夫として見ているので甘えているとしか思えない。

 フィクス ロープは取り付きの1、2ピッチが1本で、3,4ピッチから2本に分かれ、トータルの長さが約150mある。

 フィクス ロープの個所で先行パーティの初心者連中がもたもたしているので、なんとか連中に遅れることなく進むが、垂壁の氷をロープにかけたユマールに全体重をかけるので体力を消耗し、肩で息をするようになる。

 氷のホールドが有る所や傾斜がゆるい所は、アイゼンを置くか、蹴こみ、ピッケルのピックを使って登り、ユマールはバックアップとして使うが、初心者連中はホールドの有無に関らず、どんな所でも、ユマールに全体重をかけ、がむしゃらに登るので時間がかかる。

 その中でもほとんど素人の小太りのインド人が、私の目の前のフィクス ロープを呆れるくらい遅いペースで登り、彼をガイドしているマナーが悪い現地ガイド(体力のみでユマール、8環の使い方、カラビナによるバックアップ等の技術的な知識は無かった)が、私に日本語で オイ、日本人、その後は英語で何かを言い、ああしろ、こうしろと、2,3度文句を言う。

 私は4ピッチ目で、一応断って彼らを抜き、コルを目指すが、頑張り過ぎたのか、コルに着いた時は、寝不足と酸欠状態で、頭の中が真っ白で思考力ゼロの何も考えられない状態となった。「さだこ」はフィクス ロフィックスロープの箇所ープに取り付いている全ての人に抜かれ、45分遅れで着く。彼女はこれ以上登る体力も、気力も無く、根が張ったように座り込み、限界で有った。

 私一人で約200m、30分登ると頂上に着くと考えたが、初心者集団に混じると、登りも下りも時間がかかる。「さだこ」をこのコルに一人残して大丈夫か、フィクス ロープの懸垂に他パーティは登る時間以上に時間がかっているので、彼らの後ろに付いたら今日中にACに帰れるか等を考え、頂上への未練は有ったが、ここから下ることにした。

 フィクス ロープも早く下りたかったが、「さだこ」がもう少し休ませてくれと言うので、他パーティが下るのを待つ。懸垂最後のピッチで、これから登るインドネシア パーティに会う。

 懸垂が終わった所で、「さだこ」を待つ。一緒に歩き始めるが、「さだこ」は足取りが重く、先に進まない。プラトーは先に行くが、2個所のクレバス、斜度が有るトラバースは危ないので、一緒に行動する。

 氷河末端に着き、ようやく安心し大休止する。ACへのトラバースが始まるガレ場にディポックが遅い我々を心配し、ホット オレンジを持って待っていてくれた。ガレ場の行動でも「さだこ」の足取りは重い。ディポックに「さだこ」を任せ、ACに向かう。

 ACにはポータを含め、我々のパーティ全員が集まっている。キランさんから真っ先に登頂成功かと聞かれる。ノーと答え、近くの岩に座り込む。遅い「さだこ」を待って、昼食をとる。

 「さだこ」は疲れすぎて、ほとんど食べない。食べ終わる頃、突然突風が有り、ACの各テントは飛ばされないように慌てて、テントの張り綱を抑える。張る途中のテントは飛ばされそうになり、張るのを止める。それから、強風が続き、我々のパーティもテントを慌てて畳み、全荷物を持ち、急いでBCに向かう。

 キランさんが「さだこ」の荷物を背負い、抱えるようにしてゆっくりと下る。砂塵が舞うACに着き、テントに入り、横になる。

 夕食後、ボムに正廣のピッケル、アイゼン、オーバ手袋、「さだこ」のハーネス、環付きカラビナをプレゼントする。彼は雪山用登山靴を買い、登山学校に入り、技術を身につけると言う。ポータには手袋を2枚づつ、プレゼントする。 

 キランさんはボムと一緒にもう一度アタックしたらと言ったが、素人集団の中に混じって、行動が制約されるのはイヤになり、断る。     就寝 20:00

15日目 4月24日(土) 晴れ、風 正廣記

8:24 BC発   11:22_13:30 チュクン   15:12 ディンボチェ ロッジ着  

 疲れも有り、トイレに1回だけ起き、ぐっすり眠る。昨日BCから遅く行動していたインドネシア パーティは登頂したようだ。「さだこ」は疲れで、体調が悪い。ディンボチェまでは風が強く、寒かった。

 ディンボチェロッジの今度の部屋はトイレ付きなので、トイレの為にわざわざ部屋を出る必要が無い。ロッジの宿泊客は英語を話す4人、そのガイド、我々の8人だけで、行く時に比べ、静かだった。人が少ないので、飲み物、食事もすぐに出てくる。

 16時過ぎ、雪が降るが、2,30分で止む。夕食後、ポータとトランプをする。

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